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PINARELLO EXPERIENCE 2026参加レポート~ ロードバイクから2年離れていた64歳の私が、新型DOGMA Xで灼熱の108kmを走り切れた理由~

2026/07/17

 

2026年7月10日から13日まで、イタリア・トレヴィーゾで開催された「PINARELLO EXPERIENCE 2026」に参加してきました。

世界中のPINARELLOディーラーが集まり、新型モデルを実際のライドで体感する特別なイベントです。そして今回、私がどうしても確かめたかった主役が、新型DOGMA Xでした。

一般的な新型発表会のように、会場周辺を数キロ走って終わり、という内容ではありません。

PINARELLOの考えは明確です。
「本当のバイクの性能は、100km以上走ってこそ分かる。」
その言葉どおり、実際の道路を100km以上走る、かなり本格的なロングライドイベントでした。

世界各国から集まったサイクリストと交流できることも、このイベントならではの魅力です。

今回私は、2024年のDOGMA F発表会に続き2回目の参加となりました。

今回は、参加するか本気で悩みました

理由は一つ。2024年のDOGMA F試乗会以来、2年間まったくロードバイクに乗っていなかったからです。

筋力維持のため、10年以上続けているBIG3を中心とした筋トレは継続していました。
しかし、自転車に必要な筋肉は別物です。さらに、ロードバイクで重要な心肺機能が落ちていることも間違いありません。イベント前に5回ほど三本ローラーに乗り、ようやく感覚を思い出した程度でした。

それでも参加を決めたのには、理由があります。

「もしDOGMA Xが本当にリターンライダーにも優しいバイクなら、自分自身の身体でそれを証明できるのではないか。」

不安はありました。それでも、だからこそ挑戦する意味があると思いました。

コースは2種類用意されていました。
・Short:72km(獲得標高888m)

・Long:108km(獲得標高896m)

普通に考えればShortを選ぶべき状況です。それでも私は、あえてLongへエントリーしました。

「本当に大丈夫?」
「まだショートへ変更できますよ。」
スタート前、PINARELLOスタッフから何度も心配されました。

64歳で、しかも2年間一度も実走していない。ショートとロングで獲得標高がほとんど変わらないことを考えれば、そう言われるのも当然です。正直、自分自身もかなり不安でした。
それでも、せっかくイタリアまで来たのだから、挑戦せずに帰るわけにはいかない。駄目ならリタイアすればいい。今の自分が完走できるかどうかは、DOGMA Xというバイクの真価を確かめる絶好の機会でもある。そう考え、覚悟を決めてLongの108kmで出走しました。

最初の数kmで感じた「これはただの快適バイクではない」

スタートは50名ずつのグループに分かれて行われました。

私のゼッケンは34番。ピナレロ社のオーナーであるファストさんと同じグループで、トップスタートとなりました。白バイに先導されながら、トレヴィーゾ市内を抜けていきます。

道路は交通規制され、トレヴィーゾの街並みを抜けながら気持ち良く走っていきます。日本ではなかなか経験できない2列の隊列。緊張感と高揚感が入り混じる中、今回も集団の先頭付近に位置取りしながら、イベントの空気を全身で味わいました。

速度は30km/h前後。2年間まともにロードバイクへ乗っていなかった私にとって、本来なら不安になる速度域です。ところが、不思議なほど身体が前へ進んでいく感覚がありました。

集団走行の恩恵もありますが、自転車を始めた頃は30km/h巡航があれほど難しかったことを思い出します。機材が進化したのか、自分の乗り方が少しは上手くなったのか。それ以上に、DOGMA Xが走る気持ちを引き出してくれているように感じました。

そして何より、身体が楽でした。

DOGMA Fよりハンドル位置が少し高いだけで、身体への負担がまったく違います。元々は低めのハンドル位置が好きでしたが、DOGMA Xの少し高めのポジションは、我慢して乗るポジションではなく、長く走り続けるためのポジションだと感じました。

「乗り心地が良い」のに、しっかり速い

DOGMA Xに乗って一番印象的だったのは、乗り心地が良いのに、とにかくよく進むことでした。これは走り出してすぐに分かりました。

普通なら「柔らかい=遅い」になりがちです。

しかし、DOGMA Xは違いました。踏めばしっかり加速する。それでいて、身体を削らない。

速さと快適性。この相反する性能が、高いレベルで本当に両立していると感じました。

グラベル区間で、さらに評価が変わる

今回のコースでは、グラベル区間が複数組み込まれていました。

これは開発者からの「DOGMA Xは、こんな走り方もできます」というメッセージだったのかもしれません。

私自身、グラベルを走った経験はほとんどありません。最初はかなり慎重に、少しビビりながら走っていました。

ところが、走っているうちに速度は徐々に上がっていきます。砂利道でも30km/h前後で巡航できてしまう。正直、これは想像を超えていました。

ハンドルやサドルへ伝わる振動は少なく、タイヤの性能も大きいと思いますが、フレームが路面からの衝撃を自然に受け流してくれる印象でした。怖さよりも、「まだ行ける」という安心感の方が勝っていきました。

登りで分かった、ただ楽なだけではない走り

25km地点から本格的な登りが始まります。

勾配は8%、9%、10%と徐々に厳しくなり、心拍は180を超えました。

脚に掛かる負荷は確実に重くなっていきます。それでも、自分が思っている以上にバイクは前へ進みます。苦しいのに、進む。この感覚がとても印象的でした。

途中、5%前後の勾配になると、まるで平地に戻ったような感覚になります。軽めのギアでくるくる回していると、テンポ良く登っていける。装着されていたワイドスプロケットの恩恵もありますが、それを差し引いても軽快でした。
乗る前は「こんな大きなスプロケットが本当に必要なのだろうか」と思っていました。しかし実際には、このギアに何度も救われました。

写真は、苦しんでいるところを押してもらっている場面です^^

 

下りで確信した、これぞPINARELLOらしさ

私がフレーム性能を判断するとき、最も重視しているのは下りでの安定感です。

イタリアの道路は日本ほど整備されておらず、大きな穴や荒れた路面も珍しくありません。

そんな路面でも、急なライン変更やブレーキングで不安を感じることはありませんでした。バイクが暴れるのではなく、きちんと路面を捉えてくれる。

安心してコーナーへ入っていける。これは下りで何より大切な性能です。

この安心感は、ロングライドでは大きな武器になります。特に下りが怖いと感じる方にとっては、とても重要なポイントです。

灼熱の中で支えてくれた「Q36.5」のウェア

この日は、本当に暑かったです。

Garmin表示での最高気温は40℃。実際には35℃から36℃くらいだったと思いますが、太陽の下では肌が焼けるような暑さでした。そんな過酷な状況で、もう一つの大きな助けになったのが、支給されたサイクルウェアです。

参加者全員に、イタリアのプレミアムサイクルウェアブランドQ36.5のウェアが支給されました。

Q36.5はイタリア・南チロルで誕生したブランドで、ブランド名の「36.5」は、人が最も高いパフォーマンスを発揮しやすいとされる深部体温36.5℃に由来しています。

2026年は、PINARELLOとQ36.5がタッグを組んだ「Pinarello Q36.5 Pro Cycling Team」が初めてツール・ド・フランスへ出場した記念すべきシーズンでもあります。エースのトム・ピドコックを中心に、PINARELLO DOGMA FとQ36.5のウェアで世界最高峰のレースを戦っています。

正直なところ、私はこれまでQ36.5に対して「性能は良いのだろうが、価格はかなり高い」という印象を持っていました。しかし、今回の猛暑の中で実際に着用し、その印象は完全に変わりました。

一番驚いたのは、ビブショーツの完成度

2年間ほとんどロードバイクに乗っていなかったにもかかわらず、お尻の痛みはほとんどありませんでした。

普段使用しているサドルは持ち込みましたが、それを差し引いてもビブショーツのパッド性能は非常に優秀です。本来なら一度洗濯してから使いたいところですが、そのまま使用しても擦れや違和感はなく、最後まで快適に走り切ることができました。これはかなり大きな驚きでした。

真価を感じたのは40℃近い猛暑

Garminの記録では最高気温は約40℃。

イタリアの強い日差しの中でも、ウェア内の蒸れは少なく、汗をかいても身体への張り付きが少ない。暑さによるストレスを大きく軽減してくれました。
「高価なウェアには理由がある。」
今回のライドで、その意味を身体で理解しました。

上りのエリアが終わり、残り40kmは下り基調。正直、ここからは楽だと思っていました。
しかし、猛暑の中での40kmは甘くありません。水をかぶり、呼吸を整え、何度も自分に言い聞かせながら走り続け、ようやく108kmを走り終えました。

走り終えて特に驚いたのは、次の点です。

・腰が痛くない。途中でも痛くなりませんでした。

・脚がまだ残っている。

そして一番驚いたのは、暑さと久しぶりのライドで心拍が150を切らなくなってきたにもかかわらず、終わってみれば「もう1周できますよ」と思えるほど余力が残っていたことです。これは、自分でも本当に信じられない感覚でした。

まとめ:DOGMA Xは、もう一度走り出したくなるバイクでした

今回の試乗で、はっきり分かったことがあります。

DOGMA Xは、「速さ」と「快適性」のどちらかを妥協するバイクではありません。速く走りたい気持ちも、長く楽に走りたい気持ちも、どちらも諦めたくないライダーのための新しいDOGMAです。

64歳、2年間ロードバイクから離れていた私が、灼熱の中で108km・獲得標高896mを完走できたこと。これは、私の体力だけで達成できたものではありません。

DOGMA Xというバイクが、苦しい場面でも前へ進む力をくれたからこそ、最後まで走り切れたのだと思います。

レースを楽しみたい方はもちろん、ロングライドをもっと快適に楽しみたい方、そして一度ロードバイクから離れてしまったリターンライダーにも、心からおすすめしたい一台です。

私はPINARELLOを販売する立場ですが、だからこそ「本当に良いと思ったものしかお客様には勧めません」。今回のDOGMA Xは、自分自身が実際に走り、苦しみ、最後に笑ってゴールできたからこそ、自信を持っておすすめできる一台です。

今回のライドの相棒であるNEW DOGMA Xは近日中に試乗車として当店に入荷する予定となっております。また、旧DOGMA Xの試乗車もご用意しておりますので、乗り比べをしていただいても良いかもしれません。

試乗の準備が整いましたらまたHPなどでご案内をいたします。